書評

自然の振舞いはどうして数式に従うのか?

人類が誕生してからというもの、食糧を確保するため、機械を少しでも効率よく動かすため、戦争で勝利するため、あるいは知的好奇心に突き動かされて…、理由は様々ありますが、その都度、数学と科学は発展を遂げてきました。

図書館に足を運べば、有史以来の人類が蓄積してきた経験知の莫大さを実感できると思います(図書館の蔵書はあくまでも氷山の一角に過ぎないのですが)。

これらは、私たちないしは先人たちが蓄積してきたもの。人類の文化的営みといっていいでしょう。例えば次の式を見て下さい。




これらは上から順に、重力(質量をもつ物体間に働く力)、クーロン力(電荷をもつ物体間に働く力)、磁気に関するクーロン力(磁荷をもつ物体間に働く力)を導く式です。

驚くべきことに、これらの式は異なる力を記述しているにもかかわらず、式の形が全く同じなのです。次の式を見てもらえればお分かりいただけると思います。

この共通性は物理学の世界だと「逆二乗則」として知られています。これらの式は数多くの実験結果を説明するために提案され、今では多くの人から受け入れられるものになっています。

このように人類は数多くの実験や観察を基にして、自然現象がどのように振る舞うのかを数式という形で表現してきました。

『自然現象はなぜ数式で記述できるのか?』の筆者・志村史夫は、驚異の念を込めて次のように語っています。

“人間にはまったく関係ない純粋な自然現象が、100%人間の創った数式で完璧に記述される(中略)。私には不思議で仕方ないのです。”

自然現象は人類が誕生する以前から一貫して発生していたはずです。

かたや数式はインドにおける「ゼロ」の発明、ニュートンやライプニッツによる微積分学の確立、デカルトによる直交座標の導入など…、様々な人類の知的活動の上に成り立っているものです。

志村氏の感じている通り、出自の異なる「自然現象」と「数式」が深く結びついている、というのはよく考えてみると不思議な気がしてきます。

この「奇妙な結びつき」が世界にあふれていることに気付いた人類の関心はある議論に収斂していくことになります。それは「この世界は誰かが創ったものか否か?」というものです。

「この世界は何者かが作ったものだ!」という主張を聞くと、キリスト教やイスラム教といった一神教の存在が思い浮かぶと思います。また、直接的に「神」という単語を使ってはいないものの、「偉大なる知性がこの世界を創造した」と考える「インテリジェント・デザイン仮説」なども存在するようです(創造の主体を「神」ではなく「偉大なる知性」と置き換えることで宗教的なニュアンスを抑える意図があるようです)。

一方でダーウィンの進化論が発表されて以降、無神論の科学者も多く出るようになりました。『利己的な遺伝子』でおなじみのリチャード・ドーキンス氏や「車いすの科学者」スティーヴン・ホーキング氏が代表的な無神論的科学者だと思います。

(参考までにTEDトークより「戦闘的無神論」(リチャード・ドーキンス)https://www.ted.com/talks/richard_dawkins_militant_atheism/transcript?language=ja

とにかく、この「創造主の存在・非存在問題」は数学や科学のみならず、哲学や宗教までも絡んでくるような非常に難しい命題です。おそらく今後も明確な形で答えが出ることはないのだろうと思われます。ましてや、いちライターである私の手には負うことができません。

そこで、科学の歩みに大きな足跡を残した科学者たちがについてどのように考えていたのかがうかがえる発言をご紹介してお別れしたいと思います。様々な見方がありますが、皆さんがこの問題について思いを考える時に参考にしていただければ幸いです。

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「宇宙は第二の聖書である。その書の言葉は数式である」

(ガリレオ・ガリレイ、物理学者)

「私は浜辺で遊ぶ少年のようなものだ。ときどき、滑らかな小石やかわいい貝殻を見つけて遊んでいる。その一方で、真実の偉大な海はすべて未知のままに私の前に広がっている。」

(アイザック・ニュートン、数学者、物理学者)

「実に、神の概念は人間の空想以外の何ものでもない。圧倒的な自然の力にさらされていた原始的な人々が、これらの力を恐怖と震えで擬人化したことは理解できる。しかし、今のように自然を理解していれば、そのような考え方は必要ない」

(ポール・ディラック、物理学者)

「無神論者は誇りを持つべきだ、卑屈になる必要はない、なぜなら無神論は健全で独立した精神の証拠だからだ」

(リチャード・ドーキンス、生物学者)

「科学に思慮深く従事している誰もが、自然の法則というものは人間をはるかに超えた霊魂であり、そのような霊魂を前にすれば、人間は人間の力に対して慎み深くなり、自然の法則に対し謙虚に頭を下げるという自覚に到達するものです。」

(アルベルト・アインシュタイン、物理学者)

【参考文献】

・「自然現象はなぜ数式で記述できるのか」(志村史夫)

・「科学者はなぜ神を信じるのか」(三田一郎)

・「神は妄想である―宗教との決別」(リチャード・ドーキンス)

〈文=早稲田大学 先進理工学部応用化学科 3年 千島 健伸(note)〉

当ライターの前の記事はこちら:「思考の発酵」ついて作家3人の意見を比べてみました

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