最近、街中でこんなバッジをしている人を見かけませんか?
これは「SDGsバッジ」と呼ばれているものです。
「私はSDGs達成のためのアクションを起こします」という意思表示のためのバッジです。
最近よく聞く「SDGs」とは、いったい何なのでしょうか?そして私たちの生活とどのように関わってくるのでしょうか?
目次
- 「持続可能」とは?
- 誰一人取り残さない大変革
- 17の目標・169のターゲット
- 有機的なつながり
- まとめ
「持続可能」とは?
SDGsとは「持続可能な開発目標」(Sustainable Development Goals)の略称で、2015年9月に国連会議にて採択された目標です。
2030年までの達成が目指されています。つまりリミットまで残り10年しか残されていないことになります。
ここで気になるのが「持続可能な開発ってどういう事だろう?」という事だと思います。
多くの人は「成長率を常にプラスに保ちながら環境・社会・経済を開発する」ことだと思うかもしれません。
しかし、この意味なら「持続可能な成長」といった方が適切でしょう。
「持続可能な開発」とは、「将来世代のニーズを損なうことなく、現代世代のニーズを満たすこと」なのです。
だから、将来生まれてくる、私たちの子供や孫、もっと先の世代の視点に立って考えなければならないし、さらに言えば、将来達成すべき目標を明確にして、その目的を達成するために、今の時点で何をすべきか?を考える必要があります。つまりバックキャスティング的な考え方が要求されるという事です。
誰一人取り残さない大変革
SDGsとは「将来世代」のことを考えた開発目標だということが分かりました。
そしてSDGsの根幹には、外すことができない2つの重要な概念があります。
その一つ目が「大変革」(Transformation)です。
SDGsは、将来の時点から逆算したバックキャスティング的な目標であり、現状の積み重ねの先に設定された目標ではありません。
そのため、今までの取り組みとは次元の違う「大変革」が必要とされる、という事です。
あくまで目標達成の為に、技術開発や社会体制の変革、諸制度の整備を行わなくてはなりません。
もう一つが「誰一人取り残さない」(Leave No One Behind)です。
これが掲げられた背景として、SDGsの前身であるMDGs(ミレニアム開発目標)が挙げられます。
なぜMDGsが関係してくるかと言うと、MDGs自体は達成されたのですが、それは中国やインドなど一部の国々の発展の寄与が大きく、当初の目標だった世界各国の貧困層が抱える問題の解決が達成されたとは言い難かったという歴史があるからです。
この反省を活かして、SDGsでは「誰一人取り残さない」という指針が掲げられるようになりました。
17の目標・169のターゲット
SDGsは全部で17の目標から構成されています。
各テーマにつき一つの目標が設定されています。テーマは
貧困、食糧、健康・福祉、教育、ジェンダー、水・トイレ、エネルギー、労働、産業、不平等、まちづくり、生産・消費、気候、海、陸、平和・公平、パートナーシップ
これまでも問題とされてきた、貧困や食料、水、教育がテーマとして取り上げられているほか、温暖化や海洋プラスチック問題で注目されるようになった環境分野のテーマも含まれているのが特徴的です。
先ほど見た「SDGsバッジ」をよくよく見てみると17色。17の目標と合わせてあるという事ですね。
これらの17目標を大まかに分けると
- 目標1~6:社会
- 目標7~12:経済
- 目標13~15:環境
- 目標16・17:実施手段・ガバナンス
という風に分類することができます。
各テーマを細分化し、より具体的なアクションを意識したターゲットも存在します。
これは全部で169個あります。
有機的なつながり
一見バラバラに思える17目標ですが、実は複雑な関係性・繋がりを持っています。
例えば、貧困国での水アクセスが改善されて、毎日の日課であった往復10 kmの水くみをしなくてよくなったとします。すると今まで学校へ行けなかった子供が学校に行けるようになるかもしれません。
これは、目標6「安全な水とトイレを世界中に」の達成が、目標4「質の高い教育をみんなに」の達成も促すということです。
このように各目標がプラスの影響を及ぼすこともあれば逆に、ある目標の達成が他の目標の達成を妨げるという事もありえます。
経済成長を重視するあまり、自然生態系への負担が大きくなってしまうという事態はその典型でしょう。これは目標8「働きがいも経済成長も」と目標14「海の豊かさを守ろう」目標15「陸の豊かさを守ろう」の衝突と言えるでしょう。
SDGsに取り組むときには一部だけを見るのではなくて、全体を有機的にとらえて、お互いが及ぼす影響を考えながら取り組む必要がありそうです。
まとめ
- 「持続可能性」=「将来世代、現在世代のニーズを損なわない」
- 「誰一人取り残さない大変革」
- 重要トピックから17の目標
- 各目標の繋がりを有機的にとらえる
このようにSDGsには今の世界が取り組むべき重要なトピックが凝縮されています。
日本でも2016年5月に、「SDGs推進本部」が設置されましたが、本部長は内閣総理大臣、閣僚全員が構成員という体制を見ても、SDGsがどれほどの注目度を持っているか分かります。
多様な分野にわたる17の目標、どんな分野・職業に携わるとしても、必ず関連してくると思います。
SDGs達成のために、世界に生きる一人一人が自分にできることを考える、その第一歩として「SDGs」という単語に関心を持ち、アンテナを張っておくことが重要だと思います。
〈文=早稲田学 先進理工学部応用化学科 2年 千島 健伸(note)〉
当ライターの前の記事はこちら:「チーズはどこへ消えた?」を読んで