仕事をする上で、「なぜ働くのか?」という目的を明確に持つこと、そして「その目的をもとに働く事は正当か?」という問いに対して、正当だと回答できるようにすることがとても重要だと考えています。
これらの問いに明確に回答できないと、仕事に対するモチベーションを高く維持することは難しいし、自分のやっていることが本当に正しいのかモヤモヤしていては活発な行動は期待できないはずです。また、そういった気持ちで働くのも楽しくないはずで、幸せに生きるためには仕事に対する価値を明確に理解している必要があると思います。
仕事を始める前は、仕事について考えると以下のような思考が湧いてきて、ぐるぐると頭の中を巡って、なんだか仕事って嫌なものだなぁ。と思うことがありました。学生時代に就職活動に全然身が入らなかった一つの原因だと思います。
「顧客満足を重視したら利益を追求するのはおかしいのではないか?」
「本当に世の中のことを考えたらボランティアでやったらいいじゃないか?」
「長期的に良いサービスを世の中に提供するためには、利益を出さなければならない。」ということは聞いて知っていたけれど、良く理解できていなかったのだと思います。実際に仕事を通して、サービスをお客さんに提供して、対価をもらう経験を通して、初めてそのことが腑に落ちて理解できるようになりました。
なぜ、「長期的に良いサービスを世の中に提供するためには、利益を出さなければならないのか?」という質問に対して、「入社一年目で頭角を現す人、沈む人」(山口 伸一著)に明確な回答が書かれているので、紹介したいと思います。
(以下抜粋)
例えば、あなたが、大学の研究者で副作用のないガンの特効薬をつくったと仮定します。「私は金儲けは嫌いだから、無料で配布しよう。」と決めたらどうなるでしょうか。まず大量生産するための十分な原料や設備が手に入りません。そこで限られた量の薬をあなたが1人でつくって、独自の判断で限られた顧客に配ったとします。するとどうなるでしょうか。様々なクレームが寄せられます。
「なぜ、私には配布してくれない。不公正だ」
「苦くて飲みにくい」
「もっと近くでもらえるようにならないか」
「パッケージが壊れていた」
「インターネットで高値で売られていた」
「あなたの薬だと思って買ったら、全くの偽物だった」
あなたはこうした意見になんと応えますか?たぶん、「私、無給で働いているので、我慢して下さい」と言いたくなるでしょう。またお客様もあなたが無給であると文句も言いづらくなります。
結果として少数の人しか救えないことになってしまいます。疲れ切ったあなたを見て、立派だという人もいるかもしれませんが、「薬を研究しても儲からない」という評判がたつと優秀な若者が研究者になろうとしなくなります。大げさかもしれませんが、無料で薬を配布することは、人類の健康に対するマイナスになります。
それでは大量生産し、多くの人に喜んでもらおうとすると、やはりお金が必要です。いくら会社の目的に感動したチームのメンバーを集めてもボランティアでは会社は動きません。
(中略)
薬は、原料、給料、工場の設備に要する費用、本社の事務費などを計算し、さらに利益をのせた価格で販売します。そうするとたくさんの人に薬が行き渡り、もっと多くの社員に給料を払うことができます。
(抜粋終了)
本当に良いサービスを長期的に早く世の中に広げるためには、企業という利益を上げる仕組みが必要なことが明確に分かります。ボランティアではそのスピードと継続性を維持することは難しいはずです。
上記の思考が、企業活動を通して利益を生むことの正当性になるわけですが、この思考になる前提には、自分(企業)が良いサービスを世の中に提供できる。という自信が必要なのだと思います。そしてその自信を得るためには、実際にお客さんにサービスを提供して喜ばれた体験や、良いサービスを提供するために行った努力や、そういったことに思いをはせる経験が必要になります。
就職活動をしていて、利益追求がなぜ社会のためになるのか疑問に感じる方や、自身の仕事がどのように世の中が良くなることに繋がっているのか、よくわからない方については、あらためて企業活動の良い点について考えてみた方が良いと思います。
仕事をするのであれば、ポジティブに仕事をした方が良いはずです。
〈文=株式会社シグマライズ 代表取締役社長 社会保険労務士 斎藤 清二(@sigmarize)〉
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