大学生の就活の支援をする中で、企業のエントリーシートの設問項目や、面接でどんなことを聞かれたかを知る機会があります。
「あなたの尊敬する人は誰ですか?また、その理由を教えてください」という質問はエントリーシートの設問上でも面接時にも一般的に聞かれることがある質問ですが、厚生労働省が「採用選考時に配慮すべき事項」として、職業差別に繋がるおそれがある質問として挙げている質問になります。
厚生労働省のHP上の「公正な採用選考の基本」の中で以下のように書かれています。
(3)採用選考時に配慮すべき事項
次のaやbのような適性と能力に関係がない事項を応募用紙等に記載させたり面接で尋ねて把握することや、cを実施することは、就職差別につながるおそれがあります。
<a.本人に責任のない事項の把握>
・本籍・出生地に関すること (注:「戸籍謄(抄)本」や本籍が記載された「住民票(写し)」を提出させることはこれに該当します)
・家族に関すること(職業、続柄、健康、病歴、地位、学歴、収入、資産など)(注:家族の仕事の有無・職種・勤務先などや家族構成はこれに該当します)
・住宅状況に関すること(間取り、部屋数、住宅の種類、近郊の施設など)
・生活環境・家庭環境などに関すること
<b.本来自由であるべき事項(思想信条にかかわること)の把握>
・宗教に関すること
・支持政党に関すること
・人生観、生活信条に関すること
・尊敬する人物に関すること
・思想に関すること
・労働組合に関する情報(加入状況や活動歴など)、学生運動など社会運動に関すること
・購読新聞・雑誌・愛読書などに関すること
<c.採用選考の方法>
・身元調査などの実施 (注:「現住所の略図」は生活環境などを把握したり身元調査につながる可能性があります)
・合理的・客観的に必要性が認められない採用選考時の健康診断の実施
厚生労働省から注意喚起されているにも関わらず、「尊敬する人」を今だに聞く会社があることに個人的には驚いています。
上記のような情報を知っている学生からしたら、そういった質問をする会社はネガティブに映ってしまうと思いますし、そういった情報を知らないで使っている人事の方の仕事への姿勢にも疑問に感じてしまうと思います。
選考の過程で「尊敬する人」を聞く会社があったら、コンプラに無頓着な傾向があるかもしれないので、注意した方が良いです。また、問題があると思われる可能性がある設問を選考過程に残している採用担当者もあまり優秀ではないと思います。
もしこれを読んでいる大学生の方で「尊敬する人」を聞く会社に出会ったら、この記事で読んだことを思い出してもらえると嬉しいです。
〈文=株式会社シグマライズ 代表取締役社長 社会保険労務士 斎藤 清二(@saitoseiji0124)〉
株式会社シグマライズでは、23卒向けに「就職支援コミュニティ【α】」というLINEのオープンチャットにて就活生の支援を行っています。22卒のコミュニティ参加者にもサポーターとしてコミュニティに残ってもらっていますので先輩に相談することも可能です。
サービスの詳細について知りたい方は、こちらのサービス紹介ページから詳細確認下さい。