社会

なぜ給料が上がっても生活が苦しいのか?|名目賃金と実質賃金の違いを解説

「給料が上がったはずなのに、なぜか生活が楽にならない…」
そんな疑問を抱いたことはありませんか?

近年、「賃上げ」がニュースで話題になる機会が増えました。企業の給与が上昇しているという報道を聞くと、一見、私たちの生活も良くなっているように感じます。

しかし、実際には生活の苦しさを感じている人が少なくありません。その鍵を握るのが、「名目賃金」と「実質賃金」という2つの指標です。今回は、名目賃金と実質賃金の違いと計算方法について解説します。

目次

  1. 名目賃金と実質賃金の違いとは?
  2. 実質賃金はどうやって計算される
  3. まとめ

1. 名目賃金と実質賃金の違いとは?

まず、2つの言葉の意味を簡単に整理しましょう。

  • 名目賃金:企業が従業員に支払う給与の額面。
  • 実質賃金:名目賃金から物価の変動を差し引いて算出される指数。

つまり、「実質賃金」は同じ給料でどれだけのモノやサービスを買えるのかを表しています。

たとえば、給料が月3万円上がったとしても、物価がそれ以上に上がっていたら、生活が苦しくなるのは当然です。最近の食品や日用品の値上がりで、「給料は増えたのに、手元に残るお金が減った気がする」という感覚を覚える人も多いのではないでしょうか。

2. 実質賃金はどうやって計算される?

実質賃金は、次のような計算式で求められます。

実質賃金 = 名目賃金 ÷ 物価指数 × 100

例えば、

  • 2023年の物価指数:100
  • 2024年の名目賃金:103(前年比+3%)
  • 2024年の物価指数:104(前年比+4%)

この場合の実質賃金は、

103 ÷ 104 × 100 = 約99.0

となり、前年より実質的には1%の減少となります。

これはつまり、「給料は増えたけど、物の値段の方がもっと上がったから、実際には前より貧しくなっている」状態です。


3. まとめ|給料が増えても、生活が楽になるとは限らない

  • 名目賃金は「もらったお金の額面」、実質賃金は「そのお金で買えるモノの量」
  • 物価が給料以上に上がれば、実質賃金は減少し、生活は苦しくなる
  • 最近は賃上げが進んでいるものの、物価高の影響で実質賃金は下がっている

ニュースでは「過去最高の賃上げ率」や「大手企業が平均3%以上の昇給」などの話題が多く取り上げられます。

一方で、厚生労働省の「毎月勤労統計調査」では、3年連続で実質賃金が減少傾向にあると発表されています。つまり、賃金そのものは上昇していても、それ以上に物価が上がっているため、私たちの「買える力」はむしろ下がっているのです。

賃金が上がったからといって、生活が自動的に豊かになるとは限りません。物価とのバランスで実際の暮らし向きを考えることが大切です。今後もニュースを読み解くうえで、「実質賃金」の視点を持つことが、生活するうえでの判断力を養うヒントになるかもしれません。

<文=森 寛衆>

当ライターの前の記事はこちら:国民年金は払い損?保険料と受給額をわかりやすく試算してみた|

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