「会社を辞めたいけど、収入がなくなるのは不安」「再就職するまで生活できるのか」不安に思う方は多いでしょう。
しかし、そんな時のために仕事を辞めてももらえるお金があります。
代表的なものが失業手当で、会社を退職した際、次の就職先が決まるまでの生活の支えとなります。
失業手当とは、会社を辞めてから次の職場を見つけるまでの間、生活の保障と再就職の支援をする制度です。失業手当は正式名称ではなく、雇用保険の一部である「失業等給付」のことを指します。
失業等給付は退職したら自動的にもらえるものではありません。必要書類を集めて適切な手続きをする必要があります。今は会社を辞めるつもりがなくても、制度についての理解を深めておくことが大切です。
今回は失業等給付の概要から手続き、受け取れる条件・金額について解説します。
目次
- 失業等給付の概要
- 基本手当について
- 受給の手続き
- 失業給付はいくらもらえるのか
1.失業等給付の概要
失業等給付は雇用保険法に基づく給付で、大きく分けて4つあります。
・求職者給付
・就職促進給付
・教育訓練給付
・雇用継続給付
この中で、最も代表的なのが求職者給付です。求職者給付には、基本手当や傷病手当があります。制度の目的は、失業者の生活の安定を図り、求職活動の支援をすることです。
就職促進給付は、再就職した際にもらえる手当で、再就職の援助をします。「再就職手当」、「就業促進定着手当」等があります。
教育訓練給付は、厚生労働大臣の指定した教育訓練を受講したとき、受講にかかった費用の一部が支給されます。
雇用継続給付は、就職後も継続的に働けるよう援助することを目的としています。「高年齢雇用継続給付」、「介護休業給付」があります。
2.基本手当について
今回は、失業等給付で最も代表的である、求職者給付の基本手当について解説します。
以下の3点が基本手当の要件です。
・失業している状態である
・一定期間以上雇用保険の被保険者期間がある
・求職活動中である
まず失業とは、「被保険者が離職し、労働の意思及び能⼒を有するにもかかわらず、職業に就くことができない状態にあること」と定義されます。
次の就職先が決まっている場合や自営業を始めた場合は、失業状態とは認められず、失業手当は受け取れません。
では、病気やケガ、育児でしばらく働けない場合はどうでしょうか。
ハローワークで受給期間延長手続きを行えば、給付を受け取れることがあります。
次の要件の雇用保険の被保険者期間については、自己都合退職の場合、離職の日以前2年間に被保険者期間が通算12か月以上必要です。
会社都合で退職(解雇等)場合や、自己都合でもやむを得ない理由で失業した人は、離職の日以前1年間に被保険者期間が通算6か月以上あれば要件を満たします。自己都合での退職に比べ、給付の要件が緩くなっています。
3つめは、ハローワークで求職の申し込みを行い求職活動をしていることが条件とされています。インターネットで求人の検索をしただけでは求職活動とみなされませんが、転職サイト等で企業に応募すれば要件を満たします。
3. 受給の手続き
- 離職票を受け取る
- ハローワークに離職票を提出して求職の申込みをする
- 受給資格者証が交付され、失業の認定日が知らされる
- 失業の認定日にハローワークへ出頭し、受給資格者証を添えて失業認定申告書を提出し、職業の紹介を求める
- 4週間に1回、認定された日数分支給される
失業したときに受給する基本手当の手続きを解説します。冒頭で、会社を退職したら自動的にもらえるのではないとお伝えしました。適切な手続きをご自身で済ませる必要があります。
退職したら、退職の証明として会社から離職票を受け取ります。離職票の正式名称は、雇用保険被保険者離職票です。記載内容で受給資格や金額が変わるもので、非常に大事な書類です。また、令和7年1月20日から、マイナポータル(オンライン窓口)で受け取ることが可能になりました。マイナポータルで受け取るためには、いくつか条件があります。詳しくは以下のサイトをご覧ください。
厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/001353550.pdf
次にハローワークに出頭し、離職票の提出と求職の申し込みをします。
受給資格者証が交付され、失業の認定日が知らされます。失業の認定日にハローワークへ出頭し、受給資格者証を添えて失業認定申告書を提出し、職業の紹介を求めます。
基本手当を受け取るには、認定日にハローワークへ行き、失業状態にあると認定を受ける必要があります。認定日はハローワークが指定します。2回目以降の認定日は、4週間に1回が原則です。自己都合で退職した人は、7日間の待期期間後に2か月の「給付制限期間」があります。また法改正で令和7年4月1日から1か月に短縮されることが決まっています。

4.失業手当はいくらもらえるのか
基本手当日額=賃金日額×給付率
給付総額=基本手当日額×給付日数
基本手当の金額の計算方法は、賃金日額×給付率です。支給1日分のことを、基本手当日額と言います。
賃金日額は、離職日の直近6カ月間に支払われた賃金の総額を180で割った金額のことです。給付率は年齢や賃金日額に応じて45~80%の範囲で定められています。
また、受給総額は、この数字に所定給付基礎日数をかけて算出されます。給付基礎日数は離職の日における年齢、被保険者であった期間及び離職の理由などによって決定され、90日~360日の間でそれぞれ決められます。 会社都合の退職では失業保険の給付期間が最大330日あるのに対して、自己都合による退職では給付期間が最大150日です。
1年未満 | 1年以上 10年未満 | 10年以上 20年未満 | 20年以上 | |
全年齢 | 90日 | 90日 | 120日 | 150日 |
Q 25歳で3年勤めた会社を自己都合で辞めました。失業手当はいくらもらえますか?退職前6カ月間の賃金総額は1,500,000円でした。
A. 賃金日額は、150万÷180日で、8,333円(1円未満切り捨て)となります。
質問者の場合、基本手当日額が約5,587円。3年勤めたとのことなので、表から90日分支給されることがわかります。受給できる金額は、合計で約502,800円となります。
※当記事での算出はあくまで見込みとなります。詳細はハローワークに問い合わせください。
これらの給付はすぐに支給されるものではありません。自己都合での退職では、7日間の待機期間とは別に2ヶ月間の給付制限期間(令和7年4月1日からは1か月)が発生するため、給付までに時間がかかります。
ここまで失業等給付の概要から手続きの流れ、給付額の計算方法について解説してきました。自分がいくらもらえるか把握しておき、計画的に転職活動を進めましょう。
参考
ハローワークインターネットサービスhttps://www.hellowork.mhlw.go.jp/insurance/insurance_guide.html
厚生労働省 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000135026.html
<文=森 寛衆>
当ライターの前の記事はこちら:「第3号被保険者」は廃止される?年収の壁も併せて解説
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