目次
- 在職老齢年金とは?
- 制度改正の背景
- まとめ
1. 在職老齢年金とは?
働きながら年金を受けると、年金額の一部または全部が支給停止されることがあります。この仕組みを在職老齢年金といいます。
現行の制度では、「基本月額」と「総報酬月額相当額」の合計が51万円を超えると、超えた金額の半分が減額されます。この51万円のことを「支給停止調整額」といいます。
支給停止は老齢厚生年金に対して行われるもので、老齢基礎年金は対象とはなりません。
※65歳未満の方の令和4年3月以前の年金については、支給停止の計算方法が異なります。
用語の説明
- 基本月額:老齢厚生年金の月額(加給年金を除く)
- 総報酬月額相当額:その月以前1年間の標準賞与額の総額を12で除して得た額
計算例
- 基本月額:19万円
- 総報酬月額相当額:40万円
- 合計:59万円
支給停止額 = (59万円-51万円)÷2 = 4万円
なお、2026年4月からは年金制度改正により、支給停止調整額が62万円に引き上げられる予定です。
2.制度改正の背景
年金制度改正の背景には、以下のような要因があります。
- 平均寿命の延び
- 企業側の人材確保ニーズ
- 在職老齢年金が就労抑制を引き起こす
平均寿命が延び、65歳以上人口が増加する中で、年金受給者の働く機会が増えています。働きながら年金を受け取っている方は308万人、そのうち在職停止者は16%というデータがあります。
定年後も働きたいと考える人が増えている一方、多く働くと年金が減額されるため、働く量を調整する人もいます。在職老齢年金の制度が高齢者の働き方に影響を与えていることになります。
3. まとめ
在職老齢年金とは、働きながら老齢厚生年金を受け取る場合に、年金額が支給停止される制度 です。
現在は、年金と賃金の合計が51万円を超えると支給停止となっていますが、制度改正により上限額が 62万円 に引き上げられる予定です。
この見直しは、
- 働きたい人が働けるような環境づくり
- 保険料負担に応じた年金を受給する
ことを目的としています。
また、70歳以降厚生年金の加入義務がなくなっても加入要件を満たすような働き方をしていると、在職老齢年金の仕組みによる支給調整は行われることになります。
このように、厚生年金に加入している方が老齢厚生年金を受給できるようになった時は、年金額への影響する可能性があります。在職老齢年金制度をよく理解するとともに、年金制度の今後の動きについても注視しましょう。
(参考)
厚生労働省.”在職老齢年金制度の見直しについて”
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000147284_00022.html
<文=森 寛衆>
当ライターの前の記事はこちら:過緊張とは?自律神経の乱れと対策について|
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