教壇に立つ先生がチョークで黒板に板書する。
机に向かう生徒は鉛筆でノートをとる。
学校に通ったことがある人なら誰もが経験したであろう、この「ノートをとる」という作業。
私はこの作業に関して、人一倍のこだわりを持っていると自負しています。
中学一年生の頃から、「読みやすく、内容の理解が容易で、手を疲れさせないノートのとり方」について試行錯誤を重ねてきました。
今回は、私が「ノートをとる」という行為にこだわり始めたきっかけを紹介した上で、ノートの意義についてご紹介できたらと考えています。
目次
- きっかけは「まとめノート」
- ノートをとるメリット
- メリット①:「情報の鮮度を恒久的に保つ記録装置」
- メリット②:「ノートを書くこと自体が強力な学習行為」
- メリット③:「情報の関係性が整理される」
- まとめ
きっかけは「まとめノート」
さかのぼること数年、私が中学1年生だったとき。
当時塾に通っておらず勉強法に疎かった私は、几帳面な性格も相まって「その日の板書した内容をきれいに書き直す」という作業をもって毎日の勉強としていました。
つまるところ「まとめノート」です。
初めのうちは理科と社会だけだったのが、やっているうちに楽しくなってきて気が付けば数学や英語でもまとめノートを作るようになりました。
授業中に使う板書ノートと、まとめ直したノートが存在していたので持っているノートの数は半端なかったです。
(このころ作ったまとめノートはすべて高校進学と同時に処分してしまいましたが…)
肝心の学習成果はというと、まとめノートのおかげで確実に向上していたと思います。知識の浸透率が上がった、という表現がピッタリだと思います。まとめノートづくりは、手を動かすことに加えて、授業の流れを丸ごと振り返ることができるのでかなり学習効果の高い勉強法だと思います。
一方で、この「まとめノート勉強法」には重大な欠点があります。
それは「ものすごい時間がかかる」ということです。
授業の板書をすべてまとめ直すとなると、レイアウトの検討や文字や図表の書き写しが必要になるので授業時間と同じくらい(ひょっとするとそれ以上)の時間がかかります。実際、中学生だった私は一日2~3時間をまとめノート作成に費やしていました。
先ほど「まとめノートづくりは学習効果が高い」と表現しましたが、投資時間に対するコストパフォーマンスはイマイチです。
このように時間的に余裕のあった中学時代には実行できていた「まとめノート勉強法」ですが、高校に進学して忙しくなると通用しなくなりました。
けっきょく高校時代から大学生になった現在に至るまで、中学時代のようにまとめノートを作ることは一度もなかったです。きっとこれから先もないでしょう。
しかし中学生時代にまとめノートを作っていたおかげで、「いかにして情報を正しくわかりやすく整理するか?」という点に目が向くようになり、試行錯誤を繰り返しながら、自分なりの「ノート哲学」をもつようになりました。
ノートをとることのメリット
そんなノートに情熱を傾けてきた私が実感している、ノートをとることのメリットは3つです。
メリット①:「情報の鮮度を恒久的に保つ記録装置」
スーパーで買ってきた生鮮食品は、ふつう冷蔵庫に入れて保存します。しかし残念なことに、冷蔵庫の容量はせいぜい数十リットルであり、それ以上は保存しておくことができません。
さらに言うと、冷蔵庫に入れたとしても鮮度を保ち続けることはできません。数週間前から冷蔵庫に入れっぱなしの牛乳を飲む勇気は、私にはありません。
これと同じく、人間の長期記憶は大量の情報を半永久的に保存しておくことはできても容量は有限であり、その「鮮度」は時間が経つにつれて落ちてしまいます。
学校の定期テストや、大学受験などを経験した方ならば、「大量の情報を正確に記憶しておくことの難しさ」を理解して頂けるのではないでしょうか。
情報を鮮度よく保存するためには、長期記憶ではなく別の装置に記録しておくことが必要です。ノートはこの装置としての役割を果たしてくれます。
そして自ら手を動かして記録した情報というのは不思議なもので、市販の教科書や参考書に書かれている情報よりもスッと脳内に入ってきてくれます。
未来のあなたが復習する時、現在のあなたがとっているノートは、どんな教材よりも心強い味方になってくれるはずです。
メリット②:「ノートを書くこと自体が強力な学習行為」
学校や塾で何気なくやっていた「ノートを手書きする」という作業ですが、実はものすごい効果があることが研究によって分かってきています。
こちらに手書きの効用が分かりやすくまとめられている記事がありますので、興味のある方は是非ご覧ください。
(https://diamond.jp/articles/-/201900#:~:text)
つまり言いたいのは「手書き」は記憶の定着に一役買ってくれるということです。
メリット③:「情報の関係性が整理される」
私がノートを書く時に大切にしていることの一つが「関係性の明示」です。
ほとんどの場合、黒板に板書された情報たちはお互いに何かしらの関係性を持っています。
お互いに無関係な情報がランダムに並べられていたら、きっとそれは子供の落書きかスパイの暗号文でしょう。
情報同士が持つ関係としては例えば、因果関係や具体例、演繹、帰納、言い換え、対比、順接、逆接などが挙げられます。
授業や講演会で伝えられる内容を正しく理解し、使える知識として残すためには、これらの関係性を掴むことが重要です。
そして関係性を掴むためには、手を動かしてそれらの関係性をノートの上に反映させることが有効だと感じています。
個人的な意見ですが、手を動かさずにこういった関係性を整理することは難しいと思います。なぜなら、頭で考えているだけの考えは整理されていないことが多いからです。
普段、頭の中で描いていた壮大なアイデアをいざ言語化してみたら、陳腐に感じられてしまった経験はないでしょうか?私は頻繁に経験します(笑)。
脳内の情報は客観的に見つめることが難しいため、このような認識のミスマッチが起こるのだと思います。これを回避するためには、情報を頭の外に出して作業する必要があります。この「頭の外に出す」というのがまさしく、ノートに書いてみる、という作業なのです。
まとめ
- ノートのメリットは3つ
- ①情報を鮮度よく保つ記録装置
- ②「手書き」の効果
- ③情報どうしの関係を理解・俯瞰できる
いかがだったでしょうか?
次回の記事では、具体的にどのような方針・ルールを定めてノートをとるか、という点について書いていきたいと思います。
〈文=早稲田大学 先進理工学部応用化学科 3年 千島 健伸(note)〉
当ライターの前の記事はこちら:「家づくり」に見る日英の価値観の違いとは? ~『古くて豊かなイギリスの家 便利で貧しい日本の家』を読んで~
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