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インターンの闇~徹夜でワークする就活生たち~

株式会社シグマライズ、社長の斎藤です。

今回は、夏季インターンのワークと採用選考の問題を書きたいと思います。

先日、就活生から、「夏季インターンのワークで良い成績を出したいからほぼ徹夜でワークしている」という話を聞きました。

詳しく話しを聞くと、特定企業のインターンに参加した学生がチームごとにワークに取り組んで、最終日に発表を行い、成績優秀チームのメンバーは早期選考の対象になり、就活が有利に進むという話でした。

これ自体は良くある話しなのですが、有名企業の選考になると、インターンに参加しているメンバーが、その企業の内定を獲得したい目的で本気で成績優秀チームになることを目指していて、そういったチームが複数あることで、その中でも競争が起きて、結果的に多くの就活生がインターンの時間以外の時間も長時間使ってワークに取り組むことになり、またチームを組んでいる手前、他のメンバーに迷惑もかけられないから、やらざるを得ない。状況になっているということでした。

そこまで夏季インターンの取り組みが就活生に負担を強いる構造になっていることは知らなかったので、驚きました。

実際には、一部の本当に人気がある企業に限定された話しなのだと思いますが、選考の過程で就活生にそこまで負担を強いることに疑問を感じましたし、これは解消されるべき問題だ。と感じました。

ただ、就活生の身になって考えると、選考には関係ないと建前上は言われるインターンで、実質的には評価されていることを感じ、人気企業であればあるほど、際限なくワークに取り組みたくなる気持ちは分かります。また、チームを組まされていることで、責任感がある学生であればあるほど、その傾向は強くなることも予想できます。

また、企業側に立って考えると、徹夜でワークしてまだ成績優秀者になりたいということは、その分、その企業への志望度が高いと考えられるので、徹夜でワークして成績優秀者になるような学生を就活において優遇したくなる気持ちも分かります。

なので、構造としてはどこかおかしいぞ、と感じながら辞めることができない構造になっていると思いますし、この構造は、課題がありながらも解決はかなり難しいと感じました。

もっ言うと、そのワーク自体は、選考に使われるためだけに行っているワークで、そのワークに時間を使った所でサービスが変わるわけでもありません。せっかく多くの時間を費やすにも関わらず、少しも世の中が良くなっていないのも残念です。

社労士という仕事柄、従業員の長時間労働に関する問題について、どのように解決していけばよいか、というのを考えているのですが、まさにこの就活生がインターンで陥っている状況と同じ状況が実際の仕事でも発生しています。

長時間労働が蔓延している企業は、経営層に話しを聞くと、長時間労働なんて指示していない。と言います。ただ、実態として従業員が長時間労働をしている実態があって、従業員に話しを聞くと、長時間労働せざるを得ない状況になっている。と言います。

今回紹介したインターンのワークに取り組む就活生と同じような構造が実際の企業の中にもあります。

周りの人が長時間労働しているのに、自分はしなくて良いのか?という同調圧力と、成果物は十分なレベルなのか?成果物が十分なレベルでなければ、評価されないのではないか?という疑心暗鬼が職場に蔓延することで、長期間労働が発生します。

成果で評価したいという会社から見ると、傾向とすれば時間をかけた仕事の方が良い成果が出ることが多いので、結果的に成果で見ても、長時間働いた人が評価されやすいことになります。

仕事をどれだけがんばっているか、という過程で評価したいという会社から見ても、当然長時間労働をしている従業員の方が、会社のために働いてくれている、と思うわけで、結局、長時間働いた人が評価されやすいことになります。

そのため、会社側から、長時間労働を評価する構造を変えるのはとても難しいと思います。どんな評価軸で有れ、会社のために投下した時間が多いほど、評価を受けやすくなります。

そのため、これを解決するためには、従業員側や就活生側が、どこかの時点で、所属する企業や採用されたい企業に、「そこまでして評価される必要はない」という判断を行って、際限なく仕事をしたり、ワークをすることを辞めなければならないと思うのですが、それも前述の同調圧力や評価への疑心暗鬼によって、自身の行動を変えることは難しいです。

いろいろと考えてみたのですが、すぐにこの問題を解決する方法は思いつきませんでした。

ただ、就職活動も競争が激化して、行くところまで行くと、「そこまでしで就職活動をするべきではない」という揺り戻しが起こって、状況が自然と解消されるのかもしれません。

現時点で私ができることは、そこまでしなくても就職できる会社はあるよ。と就活生に言ってあげることぐらいですが、その特定の企業に採用されたいと思っている就活生には、あまり効果はないことでしょう。

動画でも「インターンの闇」について話しをしていますので、是非見て下さい。

〈文=株式会社シグマライズ 代表取締役社長 社会保険労務士 斎藤 清二(@sigmarize)〉

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