目次
- 産休の基本情報
- 出産手当金
- 育休の基本情報
- 育児休業給付金
- 育児介護休業法の令和5年4月1日~の法改正(育児休業取得状況の公表の義務化)について
1.産休の基本情報
産休とは、出産日前6週間以内と出産日後8週間以内休業する制度です。加えて、出産予定日がズレた場合は、その日数も産前の休業に含まれます。産後の6週間は、本人に働く意志があるなし関係なく、働いてはいけないと定められています。
2.出産手当金
出産手当金とは、出産日前6週間以内と出産日後8週間以内休業している間に、貰える手当金です。
1日につき貰える金額は以下の通りになります。
(支給開始日の以前12ヶ月間の各標準報酬月額を平均した額)÷30日×(2/3)
※支給開始日とは、最初に出産手当金が支給された日のことです)
支給開始日の以前の期間が12ヶ月に満たない場合は次のいずれかの低い額を使用して計算します。
1.支給開始日の属する月以前の継続した各月の標準報酬月額の平均額
2.標準報酬月額の平均額(支給開始日が平成31年3月31日までは、28万。それ以降は30万)
3.育休の基本情報
育休とは、原則、子供が1歳の誕生日の前日まで育児に専念するために休業する制度です。保育所が見つからない等の理由で延長できることもあります。
4.育児休業給付金
育児休業給付金とは、雇用保険の被保険者が1歳未満の子を養育する目的で育児休業を取得した際に受け取れる給付金です。
1日につき貰える金額は以下の通りになります。
育児休業開始日から6ヵ月間は、休業開始時の賃金日額の67%が支給されます。6ヵ月経過後は、休業開始時の賃金日額×50%が支給されます。
※休業開始前6ヵ月の賃金を180で割った金額を休業開始時の賃金日額とします。育児休業開始日から6ヵ月間は、1ヶ月を30日として考え、合計で180日間になります。 支給の1か月の上限が45万600円(上回る場合でも最大45万600円支給)で、下限は7万7310円(下回る場合でも最低7万7310円支給)です。
5.育児介護休業法の令和5年4月1日の法改正(育児休業取得状況の公表の義務化)について
常時雇用する労働者(事実上期間の定めなく雇用されている労働者)が1,000人を超える事業主は、育児休業等の取得の状況を年1回公表する(自社ホームページや両立支援ひろば等)ことが義務付けられます。
公表すべき内容は、以下のいずれかです。
1.育児休業等の取得割合
公表前事業年度中に、雇用する男性労働者が育児休業等をしたものの数÷公表前事業年度中に、事業主が雇用する男性労働者であって、配偶者が出産したものの数
2.育児休業等と育児目的休暇の取得割合
(公表前事業年度中に、雇用する男性労働者が育児休業等をしたものの数+小学校就学の始期に達するまでの子を養育する男性労働者を雇用する事業主が講ずる育児を目的とした休暇制度を利用したものの数)÷公表前事業年度中に、事業主が雇用する男性労働者であって、配偶者が出産したものの数
【用語、内容補足】
常時雇用する労働者
→定義としては、期間の定めなく雇用されている者。過去1年以上の期間について引き続き雇用されている者、又は雇い入れの時から1年以上引き続き雇用されると見込まれる者。 (一定の期間を定めて雇用されている者又は日々雇用される者で、その雇用期間が反復更新されて、事実上期間の定めなく雇用されている者と同等と認められる者)
期間の定めなく雇用されている者は、正社員だけではなく、アルバイト等も該当します。過去1年以上の期間について引き続き雇用されている者、又は雇入れの時から1年以上引き続き雇用されると見込まれる者は、契約が更新されれば、日雇い労働者や派遣社員も該当します。
両立支援ひろば
→厚生労働省運営ウェブサイトで、育児休業等取得率の公表ができます。それだけではなく、両立支援に取り組む企業の事例検索や自社の両立支援の取組状況の診断等ができます。
育児休業等
→育児・介護休業法に規定する以下の休業のことです。
1.法第2条第1号※1に規定する育児休業(出生時育児休業(産後パパ育休※2)を含む)
2.第23条第2項※3(所定労働時間の短縮の代替措置として3歳未満の子を育てる労働者対象)又は第24条第1項※4(小学校就学前 の子を育てる労働者に関する努力義務)の規定に基づく措置として育児休業に関する制度に準ずる措置を講じた場合は、そ の措置に基づく休業
※1法第2条第1号の内容は、(日雇い労働者を除く)労働者が、原則としてその1歳に満たない子ども(養子縁組や里親も含む)を養育するための育児休業。
※2産後パパ育休の内容は、2022年10月に施行された育休制度。正式名称は、出生時育児休業。前身のパパ休暇をより柔軟性のあるものにするために制定されました。パパ休暇は、子の出生後8週間以内の期間内に、パパが育児休業を取得した場合には、特別な事情がなくてもパパが2回目の育児休業を取得できる制度です。男性の育児休業への障害になっていた長時間仕事を離れづらいことを改善した仕組みで、子供の生後8週間以内に4週間まで取得可能で、まとめての取得や分割の取得ができる制度。
産後パパ育休とパパママ育休プラスの違いは、夫婦の両方が育児休業を取得することと対象となる期間です。パパママ育休プラスは、子どもが1歳を超えて1歳2カ月になるまで育休を利用できる制度です。産後パパ育休は、供の生後8週間以内に4週間まで取得可能。それに対して、パパママ育休プラスは、1歳2カ月になるまでに取得可能なので、期間が異なります。
※3法第23条第2項の内容は、育児のための所定労働時間の短縮措置を講じないこととするときは、当該労働者が就労しつつ当該子を養育することを容易にするための措置を講じなければならないです。つまり、時短勤務ができない労働者に対しては、部署の変更などの対策を講じなくてはなりません。
※4第24条第1項の内容は、育児休業期間中に就労することは、原則として想定されていませんが、労使の話し合いにより、子の養育をする必要がない期間に限り、一時的・臨時的にその事業主の下で就労することはできます。
<文=石川 創>
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