目次
- 北朝鮮と韓国の国境線
- 戦争記念館
1.北朝鮮と韓国の国境線
本稿では韓国留学をする筆者が直面した困難と感じたことをまとめる。
2月下旬、北朝鮮と韓国の国境線(Demilitarized Zone、通称DMZ)に行ってきた。DMZは見学できる時間が限られていて、到着するやいなや、第3トンネルの見学に向かった。第3トンネルとは、北朝鮮が韓国を侵略するために作ったトンネルで、1時間で約3万人が移動できるという。第3トンネルは、観光地化され、265メートルのところまで、徒歩で移動することが可能となっている。トンネルに入る際、カメラなどの貴重品は持っていけなかった。まず入口から入ると意外と横幅が広く、大人2人が横に広がりながら歩いても余裕があった。しかし、進むにつれて道幅がやっと1人で通れるほどと狭くなり、水たまりができていた。道の途中で、北朝鮮の兵士が第3トンネルの掘削中に韓国軍に見つかる姿を再現した人形が置かれていた。行き止まりでは、壁が設置され、それ以上進めないようになっていた。2023年3月5日現在、4つのトンネルが見つかっているが、脱北者によるとまだ見つかっていないトンネルもあるとされた。
次に、展望台に向かった。展望台の望遠鏡を覗くと北東の方向に北朝鮮の国旗が見えた。北西の方向には都市らしきものがあったが、これはプロバガンダシティと呼ばれ、北朝鮮が自国の発展を見せつけるために作られたとガイドさんが話してくれた。その一方で、脱北者の証言を元に構成された北朝鮮の兵士と韓国の令嬢のラブストーリー「愛の不時着」では、北朝鮮の人々の至って平和な暮らしぶりが紹介されたように、北朝鮮の国民は極めて貧しいと考えるには情報が足りないのかもしれないと話してくれた。望遠鏡を覗いていると、住民がバイクに乗って移動している姿が見えた。
フィールドトリップの道中、中国の留学生との会話の中で、中国から北朝鮮に入れるとの会話をした。しかし、北朝鮮に入国してしまうと、入国履歴が残り、他の国に入国することが極めて大変になってしまうと聞いた。例えば、アメリカは、北朝鮮とイランに入国履歴がある渡航者を基本的にビザ免除ができなくなる。入国をすることは可能だが煩雑な手続きをしなければいけなくなるという。また、今回のフィールドトリップでは、北朝鮮の再軍備の影響もあり、板門店は訪問できなかった。
2.戦争記念館
次に、戦争記念館に行ってきた。最初は、日本人である自分が戦争記念館に行くことに関して躊躇していたが、日本の視点だけでなく、韓国の視点からも戦争の歴史について学びたいと思い、中国の留学生と戦争記念館に行ってきた。まず目についたのが無数の国旗である。国連、アメリカ、オーストラリア…の順番で並んでいてこの順序は何か?と思ったら朝鮮戦争の参戦の順番に旗が並んでいた。
下の迫力のある像は、「10人の勇敢な戦士たち」と呼ばれ、北朝鮮の攻撃にsuicide attack、すなわち身代わりになって攻撃を行った勇敢な戦士を讃え、銅像が建てられていた。
いざ、戦争記念館の中に入ると韓国籍の人はもちろん、いろいろな国籍の人が見学に来ていた。最初のゲートでは、蒙古襲来の歴史を取り扱ったゾーンで、おー!日本史で見たやつだ!と少し興奮した。
衝撃を受けたのは図4の展示である。朝鮮戦争が起こった時の兵力を表しているが、北朝鮮軍と比べると大幅に戦力に差があることに驚いた。やはり、国連軍、アメリカが参戦は大きい意味を持つものだったと改めて痛感した。その証拠に、展示コーナーにアメリカのマッカーサ将軍や国連コーナーが設けられていて大きな感謝が述べられていた。日本は、軍を派遣できないので、Material(物質)の支援と表記されていた。
戦争記念館では、図5のように、兵隊になる過程が展示されていた。簡潔にまとめると、訓練を受け、寮に入り私生活でも自分を律することを学び、身体を鍛える。ルームメイトも韓国で徴兵経験があるが、家族と2年間、連絡を全く取れないほど厳しいと言っていた。中国やラオスからの留学生との会話で南北統一は実現するかという会話になった時に、仮に統一した後、誰が国を収めるかが問題になるのではないかという議論が交わされた。韓国人のガイドさんは政治体制にも影響するとおっしゃっていた。
戦争記念館では、日本に対してネガティブな展示がされているかもなという覚悟を持っていたが、全くそんなことはなく、テレビで報道されるような日本人へのデモのような差別はないように感じた。メディアが報じるような断片的な情報では、韓国について理解することは無理だと感じた。もちろん放送時間の関係で意図せず情報を集約しなければならないという事情も理解できるが、やはり短い時間でNegativeあるいはPositiveな印象を受けてしまうような誇張するような報道の仕方は変わって欲しいと感じた(もちろん変わらない理由として視聴率が取れたり、雑誌が売れやすくなるということもあるだろうが)。また、発信側だけではなく、受け手側もしっかりと情報リテラシーを身につける必要があると感じた。
<文=末田椋資>
当ライターの前の記事はこちら:高麗大学留学レポート
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