社会保険

社会保障協定とは?オーストリアが2025年12月から新たに追加

1. 社会保障協定とは?

社会保障協定とは、各国の社会保障制度において、2国間で調整する仕組みです。通常、海外で働く場合は、自国と就労先の国の両方の年金制度に加入することになります。日本から海外に派遣された方は、保険料を二重に負担しなければならない問題が生じています。

また、日本では年金受給のための加入期間の要件が10年となっていますが、海外においても一定期間その国の年金に加入しなければならない場合があります。加入期間の長短によっては、その国で負担した年金保険料が年金受給につながらず、保険料の掛け捨てとなることがあります。

2. 社会保障協定の効果

社会保障協定を締結すると、協定相手国の年金を受け取るための期間を満たしていなかったとしても、日本の加入期間を通算して、協定相手国の年金を受給できる場合があります。

① 適用調整

相手国への派遣の期間が5年を超えない場合には、当該期間中は相手国の法令の適用を免除し自国の法令のみを適用し、5年を超える場合には、相手国の法令のみを適用する。

② 加入期間の通算

両国間の年金制度への加入期間を通算して、年金受給の要件となる期間以上であれば、それぞれの国の加入期間に応じた年金がそれぞれの国から受けられるようにする。

3. 2025年12月1日からオーストリアが追加

厚生労働省は日本とオーストリアとの社会保障協定が2025年12月1日に発効すると発表しました。

各国との社会保障協定発効状況

  • 初めての協定国はドイツ
  • 2024年4月にはイタリアとの協定が発効
  • 2025年12月1日からは新たにオーストリアが追加予定

これにより、日本は24カ国と協定を結ぶことになります。
ただし、英国・韓国・中国・イタリアとの協定は「制度の二重加入防止」のみで、加入期間の通算は対象外です。

4. まとめ

社会保障協定は、年金制度の二重加入の防止や加入期間の通算する仕組みを備えています。海外へ新たに赴任や長期出張する場合は、年金制度の適用が変わる可能性があります。

2025年12月1日から、日本とオーストリアとの社会保障協定が発効されることが決定しました。これまで、23か国と既に協定が発効しており、オーストリアが24番目となります。

各国の社会保障協定の内容は、協定を締結する相手国の制度によって、異なる箇所があります。各国と結んでいる協定に関する取り扱いや手続きについては、日本年金機構のHPや厚生労働省からの公式情報を参照してください。

(参考)

日本年金機構.”社会保障協定”

https://www.nenkin.go.jp/service/shaho-kyotei/shaho.html

<文=森 寛衆>

当ライターの前の記事はこちら:在職老齢年金の仕組みと法改正について|

株式会社シグマライズでは、就活生向けに「就職支援コミュニティ【α】」というLINEのオープンチャットにて就活生の支援を行っています。過去のコミュニティ利用者にサポーターとしてコミュニティに残ってもらっていますので先輩に相談することも可能です。

サービスの詳細について知りたい方は、こちらのサービス紹介ページから詳細確認下さい。