「ミニマリズム」と呼ばれる考え方・生活スタイルは、片付け・収納ブームに伴って大きく広まっていったように感じられます。
そのせいかミニマリズムへの認識が、単なる片付け・収納術の延長にとどまっているように感じますが、本当にそうなのでしょうか?ミニマリズムにはそれ以上の意義があるのではないか?と感じたことがこの記事を書くようになったきっかけです。
今回は一般に認知されているミニマリズムのメリットを紹介しながら、私が考えるメリットについて書いてみました。
目次
- 1.ミニマリズムとは
- 2.目に見えるメリット
- ①時間の効率化
- ②無駄な出費が減る
- ③機能美
- 3.目に見えないメリット
- ①ノイズから逃れる
- ②物質だけでは満たせないから
1.ミニマリズムとは
ミニマリズム(Minimalism)を文字通りに訳すならば「最小限主義」という意味です。
そして、それを意識して暮らしている人々はミニマリスト(Minimalist)と呼ばれます。彼らの関心は、自分の持ち物をできる限り少なくする、という点にあります。
つまり、ミニマリストとは「必要最小限の所持品のみで日常生活を送る人々」だと言えます。
2.目に見えるメリット
素朴に考えれば、たくさん所持している方が有利だし便利なはずです。にもかかわらず極力物を持たない暮らしをしている人がいるということは、何かしら理由があるはずです。ミニマリストとして情報発信している方の意見や自分自身の経験を基に考えてみました。
①時間の効率化
例えば部屋を掃除する場面を考えます。掃除機をかけようとしているのに、床に物が直置きしてあるとどうでしょうか。まず「物を床から持ち上げて別の場所に移す」という余分なステップが割り込んでくることになります。これでは時間がかかってしまいます。物を減らせば床に物を置くこともなくなり掃除にかかる時間を短縮することができます。
また、物が少なければ部屋が散らかりにくく、片付けの頻度が少なくても部屋が乱雑な状態になることはありません。そして必要なものをすぐに取り出すことができて、「ハサミを探すのに5分もかかった…」という事もありません。
②無駄な出費が減る
所持品を最小限にとどめるためには捨てる時だけではなく、買う時にも意識を向ける必要があります。
つまり、無駄な買い物を避けるということです。
ミニマリスト全体の傾向として「物の量は減らす分、質にはこだわりたい」という方が多いような気がします。なので「無駄な買い物が減る=出費が減る」という単純な等式が成り立つかどうかは一概には言えません。
しかし、お金を無駄なところに使う機会が減るのは確かです。
③機能美
「必要最小限のモノしか持たない」という教義に従えば、保持していても使う場面がないものは真っ先に所持品から除かれることになります。
なので、ミニマリストの所持品には用途と意図が明確に付与されており一切無駄がありません。持ち主の生活と完全に調和している、と言い換えることができるかもしれません。
そこには一種の清々しさを感じることができます。Apple社製品のような機能美に通じるものがある、と表現できるでしょうか。
3.目に見えないメリット
ここまで挙げてきたのはミニマリズムの「目に見える」メリットと言えます。時間やお金の節約、スタイリッシュな見た目といったメリットは形として実感しやすいものだからです。
これだけではなく、ミニマリズムのメリットには「目に見えない」ものも存在していると思います。以下はこの「目に見えない」メリットについて紹介していきたいと思います。
①「ノイズ」から逃れる
モノや情報を容易に手に入れられること。これが現代人の享受している祝福であることに疑いの余地はありません。
技術発展による生活水準の上昇と経済成長、そしてデバイスの発達のおかげで、私たちは欲しいモノと情報を比較的簡単に得ることができます。
しかし実際には、自分が必要としていない大量のモノと情報の濁流に巻き込まれているといった方が正確なのではないでしょうか?
オフィス、学校、コンビニ、スーパー、駅のホーム、電車やバス、そしてインターネット…。少し見渡しただけでも、あらゆる場所にモノと情報が溢れかえっていることが分かります。
ミニマリズムが浸透しているのは、こうしたモノと情報の氾濫、すなわち自分には必要ない「ノイズ」から逃れたいという潜在的な欲求があるからではないでしょうか?
通信の分野では、必要な情報を伝達するときに不必要な情報(ノイズ)をカットする作業が頻繁に行われます。余分な情報を除去することで、通信の負担軽減と正確な情報伝達を実現することができるのです。
これと同じく、少しでも「生活のノイズ」を減らすことができれば、生活の負荷を軽減させ、自分がすべきこと・したいことに集中できるようになります。
例えばテレビを眺める時間を不要に感じたとします。その場合はそれを手放すことで何となくテレビを見て過ごしていた時間を取り戻すことができます。これは「テレビを観る」というノイズを生活から取り除き、生まれた時間を別の活動に充てられたことになります。
②物質だけでは満たせないから
今からおよそ60年以上前、日本は高度成長の時代に入りました。そして「世界大戦の敗戦国」から、当時アメリカに次いで世界2位の資本主義国に上り詰めました。物質的に豊かな現代日本が形成され始めたのはこのころです。
ここからは完全に私の推測です。戦後の日本ではアメリカナイズされた幸福観が受け入れられていたのではないでしょうか。つまり絵に描いたようなアメリカンドリーム「マイカー、マイホームをもつこと」が幸福の必要条件として確信されていたと考えられます。
しかし時代が進むにつれて「物質的な豊かさを実現したからといって幸せになるとは限らない」ということが分かり始めてきました。人間は「目に見えるもの」だけでは満たすことができない、ということです。
現在は「物質的豊かさ→精神的充足」という価値観の転換が起こっている期間だと思います。
こうした雰囲気が充満しているからこそ、物質を所有することの価値が下がり「ミニマリズム」が浸透しているのではないでしょうか。
「自分にとって何が必要最低限か?」について考えることは、物質的な豊かさに囚われない、本当の意味で満足できる生き方に繋がっていくと思います。
〈文=早稲田大学 先進理工学部応用化学科 3年 千島 健伸(note)〉
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