「就活に向けて資格を取った方がいい?」一度は気になったことがある人も多いのではないでしょうか。
授業をはじめ、課外活動もしながら就活に向けた準備をするためのやりくりは大変。さらに資格取得も考えると、時間とお金がかかってしまいます。
実際に人事として複数の業界で新卒採用に関わった経験を踏まえて、今回は資格神話について検証してみます。
目次
- 新卒で資格を持っていたら有利って本当?
- 評価されやすい資格
- 資格を取ることが目的ではなく、その過程が大事
- 新卒は資格より人柄重視。たくさんの経験を積もう最後に
1.新卒で資格を持っていたら有利って本当?
実際に、大学と専門学校が提携して資格取得講座を開設していたり、割引価格で講座受講者を募集していたりするケースも多く見受けられます。就職課や学内で、これらの募集ポスターを見かけたことがある人もいるでしょう。
もちろん、新卒でも専門職など一部の仕事では資格が必須になる職業もあります。
資格が必須となっている職業は、はじめから学部のカリキュラムで資格取得できるように組まれているのが一般的。就活も、違ったケースになっていることが大半です。 今回は、一般企業で総合職や一般職を目指している場合に限定して検証します。
2.評価されやすい資格
では、一般企業を狙う学生が持っていると評価されやすい資格はあるのでしょうか。
基本的には、パソコンスキルや英語能力など「知識があればいいに越したことがないレベルのもの」で、深い専門的知識は要求されません。代表的な資格を挙げてみました。
・日商簿記検定(2級が望ましい)
簿記は、会社の財務諸表など経理関係の資料を見る際に必要な知識となります。
例えば営業職に就いた場合、新規取引先と取引するか決める資料として見る機会があります。あるいは銀行など金融機関に就職して融資などの担当になった場合や、一般企業で経理などの部署に配属された際も必要となる知識です。
3級は「個人商店レベルの知識」2級は「株式会社レベルの知識」と言われますので、2級を持っていれば一般的な経理資料を理解できることをアピールできます。
・ITパスポート
社会人として欠かせないIT知識を問う国家資格です。
新しい技術(AI、ビッグデータなど)や新しい手法(アジャイルなど)の概要に関する知識、経営全般(経営戦略、マーケティング、財務、法務など)の知識、IT(セキュリティ、ネットワークなど)の知識など幅広い分野の総合的知識を問う試験になっています。
単に「マイクロソフトのアプリケーションが使えます」と言うよりもさらに一歩踏み込んだ知識があると評価されます。
・TOEIC
日常生活をはじめ、グローバルビジネスで使える英語の力を測定する、世界共通のテストとして広く実施されています。
一般的な合格・不合格の判定ではなく、スコアで英語力をみます。
企業にもよりますが、外資系や商社・海外に拠点を多く持つ企業では入社試験を受ける資格のひとつに具体的なスコアが必要な場合もあります。
あくまでも目安ですが、最低でも600点以上が必要と言われています。
一度いいスコアを取ったら終わりではなく、その後も定期的に受検していく必要があります。社会人になっても、昇進資格に必要スコアを定めている企業も多く存在します。
・ファイナンシャルプランナー
金融や不動産業界を目指す人は持っておくと金融の全般的な知識があることをアピールできるため、注目の資格であると言えます。
しかし、決してこれらの業界を目指す人以外も取得して損はありません。
例えば、株式や税金・年金・社会保険の一般的な知識など幅広い知識を問う問題も数多く出題されますので、生きていくうえで必要な知識が多く含まれています。
社会人として持っておきたい知識を早めに身につけておくと、身を守ることにもつながります。
・MOS(マイクロオフィススペシャリスト)
一般企業で多く使われているマイクロソフト社のWordやExcel・PowerPointなどの利用スキルを証明する資格です。
授業などで資料・レポートを作る際に使い慣れているなら、さほど苦労することなく取得できるはず。もし、使い慣れていない場合は、就職後すぐに必要となるケースが多いため使えるに越したことはありません。
休みの期間などに一気に勉強して取りやすい資格でもあります。
3.資格を取ることが目的ではなく、その過程が大事
面接では、資格を取得したことをアピールする学生も多くいます。
もちろん資格を取得した結果については評価の対象となりますが、採用担当が知りたいのは「なぜ、その資格を取ろうと思ったのか」「資格を取るためにどんな努力や苦難があったのか」といった考え方や過程。
学生側は「就活で少しでも有利になりたいから取得した」と言いたいのが本音でしょう。採用担当者も、少しでもアピールするために取得したことはわかっています。
資格の勉強のために、時間をどのようにやりくりしたのか。勉強しているうちに、どんな知識により興味を持ったのか。採用担当者は資格の勉強を通じて、どんなことを感じたり、考えたりしたのかを知りたいのです。 あなたは、勉強する中で機械的に知識を習得しただけでしょうか?他にも感じることはあったのではないでしょうか。こうした思いを自分の言葉で話せるかどうか、採用担当者は見ています。
4.新卒は資格より人柄重視。たくさんの経験を積もう
「体育会系の部活だったから、資格取得ができなかった」「ほかのことを優先していたから資格のことまで手が回らなかった」と焦る必要はありません。
資格は評価の対象となりますが、持っているから有利になるわけではありません。
新卒の就活で採用担当者は「うちの会社で一緒に働きたいかどうか」「この学生はどんな人なのだろう」と可能性や人柄を重視して採用しています。
学生時代、どんなことを経験してきて、どんな感じ方や考え方をするのか。内面を見たいのです。
すごい経験が必要なのではなく、日常生活でどんなこと興味を持つのか、どんなふうに感じるのか、そんな経験を自分なりに話せる学生に採用担当者は惹かれます。
本を読んだり、友達と話したり、授業をきちんと受けたり、基本的なことを大切にして過ごすことが一番大切。その中で新しい友達と知り合ったり、知らなかった世界をのぞいて成長したりしていくことが、あなただけの魅力になります。
<文=葉月智世>
当ライターの前の記事はこちら:コロナ禍から見える就活に対するホンネから対策を考える
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