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元中日ドラゴンズ監督 落合博満の魅力

目次

  1. 中日ドラゴンズの黄金期を築いた名伯楽 落合博満
  2. 勝利のために何が必要か見極める洞察力
  3. 自分で育つ選手を育成
  4. 信じて任せる
  5. 物事の本質を見極める
  6. 日本一になるための方法論を示す
  7. 勝つことが最大のファンサービス

1.中日ドラゴンズの黄金期を築いた名伯楽 落合博満

今回の記事では、私の尊敬する人物である、元中日ドラゴンズ監督の落合博満(以後、落合監督)の魅力を紹介する。落合監督は、現役時代、プロ野球唯一の三冠王を3度取った名選手で、監督としても名伯楽ぶりを発揮し、8年間の任期で中日ドラゴンズを4度のリーグ優勝、1度の日本一に導いている。それではなぜ、私が落合博満という人物に心酔するのか。具体的なエピソードを交えながら落合監督の魅力について5点紹介したい。

2.勝利のために何が必要か見極める洞察力

1つ目は、勝利のために何が必要か見極める洞察力があるところだ。落合監督は、中日の監督就任時に、「あなたたちに一年間の猶予を与えます」とトレードも補強も解雇もしない。1年間ここにいるメンバーで戦い抜くと宣言した(引退を撤回した川相昌弘、横浜を解雇されたドミンゴ・グスマン、広島を戦力外となっていた筒井正也しか獲得しなかった)。普通だったらトレードや大型補強を行うなど、新戦力を加えてチーム作りをしていくのが基本だが、落合監督はチームの基礎力強化に尽力し、翌年に中日を優勝に導いている。落合監督はこのことに関し、「選手の実力を直接見れていなかったから」と語っていて、翌年、リーグ優勝を成し遂げた。しかし、その年には18人の選手と契約を更新しないという判断を下している。この判断に対しては、「積極的な補強をしなければ、2005年は最下位になってもおかしくない」と判断したからと著書の中で語っている。そして、「チームを活性化するために何人かの新人を入れなければならないということを除いては、現有の戦力をどう生かすか考えることが大前提である」とも語っている。

3.自分で育つ選手を育成

2つ目は、自分で考えて成長をしていく選手を育成したことである。落合監督は若い選手に対する印象として、「一人で過ごすのは好きだけれど、孤独には耐えられない」と語っている。その背景に、少子化で一人っ子になり一人部屋で過ごす機会が増えたことや、携帯電話が普及したことにも言及し、このことに対しては「時代の流れ」とし、ホテルの過ごし方などは若者の気質に配慮して良いのではないかと語っている。ただ、グラウンドの中ではそのような事は言わず、自分で考え行動できる選手を求めると示した。理由としては、投手も野手もコンマ1秒で勝負が決まる世界に、長々とアドバイスはできないから、自分で考えて行動できるようになって欲しいという理由があるとした。選手に愛を持って接しているからこそ言える厳しい言葉だなと感じた。

4.信じて任せる

3つ目は、信じて任せたことである。落合監督は、森繁和ヘッドコーチに投手に関することを全て任せていたという。落合監督が野手出身だったこともあり、投手に関して専門家ではないことが大きな理由になったという。監督を8年間務めて先発投手を決めたことは、2004年の開幕投手に川崎憲次郎投手を先発させただけだと言う。監督自身がその日の先発投手を知らなかったほど、森繫和ヘッドコーチに投手の起用を一任し、采配を行っていたという。三冠王を3度獲得した落合監督だからこそ、分かることや気付くことがたくさんあったと思われるが、森重和コーチに投手を任せきって采配を取り続けたことは到底真似できないと感じた。

5.物事の本質を見極める

4つ目は、物事の本質を見極める能力だ。例えばスター選手が集まるオールスターで投手を選ぶ時に、各チームのエース級の選手ではなく、リリーフの選手を中心に集めたという。その背景には、先発投手がチーム事情でリリーフに転向した場合に、しっかりと準備ができるよう、あえて選考を避けたと語っている。プロ野球で一番大事なことは、選手が元気よくプレーをすること。それを考えていた落合監督は、選手が故障しないように気を配っていたという。

6.日本一になるための方法論を示す

5つ目は、日本一になるための方法論を示したところである。「日本一になる」と宣言するだけでなく、日本一になるためにはどんなことをやっていけば良いのか方法論を示したところが落合監督の強みだったと感じる。厳しい練習量も、これだけやれば負けるわけがないと実感させることで、チームを成熟させ、次に誰が監督になっても優勝を目指して戦えるチームができるようにしていたという。

7.勝つことが最大のファンサービス

「勝つことが最大のファンサービス」をモットーに、落合監督は8年間の任期の間に、リーグ優勝4回、日本一1回の成績を残し、中日の監督としては、最高の成績をもたらした。しかし、選手の怪我の具合の詳細を明かさないなどの徹底した秘密主義から、批判を浴びることもあった。それでも落合監督が、自分の軸をブラさずに中日の黄金期を築きあげた功績は大きく、そして今も多くの学びを残している。

【参考文献】
落合博満,2011,『采配』,ダイヤモンド社.

<文=末田椋資>

当ライターの前の記事はこちら:眼鏡が壊れたら…

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